会社事業概況書の記載に係る留意事項について②

前回の記事「会社事業概況書の記載に係る留意事項について①」の続きです。

前回の記事では、平成30年4月1日以降終了事業年度分から適用される新しい様式の会社事業概況書には、別途企業が作成する可能性のある移転価格文書等に関連した情報が含まれているため整合性等の面で注意が必要であることを指摘しました。今回は注意を要すると思われる主だった項目から順次詳しく見ていきたいと思います。

目次

【総括表:⑤子会社及び支店等数】

ここは、平成29年度の「法人事業概況説明書」と記載内容は同様ですが、国内・海外の出資割合が50%超の子会社数をそれぞれ記載します。ここで日本の移転価格対象となる会社数がグループ全体で何社あるかが分かるので、移転価格文書のうちCbCRやMFに記載する会社の範囲や総数との整合性確認に使われる可能性があります。

(平成30年度会社事業概況書の記載要領)

イ 「子会社」欄は、直接、間接を問わず出資割合又は議決権所有割合(以下「出資割合等」といいます。)が50%超の子会社について、子会社の所在地により国内及び海外それぞれに分けてその総数を記載してください。

ロ 「支店等」欄は、所在地が国内の「工場」、「店舗」、「営業所(支店を含む)」、「その他(出張所、駐在員事務所、倉庫等)」については、「国内」欄のそれぞれの欄にその総数を記載し、所在地が海外の「工場」、「その他(店舗、営業所、支店、出張所、駐在員事務所、倉庫等)」については、「海外」欄のそれぞれの欄にその総数を記載してください

【総括表:⑦売上構成比】

売上構成比を「品名・事業部」・「売上高」・「構成割合」と合わせて記載します。当期の業績の売上高の数字との整合が求められる点に注意すること、さらに、前期と比較して当期の業績に著しい変化がある場合は、その主な理由を簡記することになっています。これらも移転価格文書の確認や税務調査においてグループ全体の取引の全体像を俯瞰的に把握したり、事業上の重要な変化を把握する際のスターティングポイントとして活用される可能性があるでしょう。

(平成30年度会社事業概況書の記載要領)

「⑦売上構成比」欄は、「品名又は事業部等」の売上高の多い順に記載してください。 ※「合計」欄は、「⑥当期の業績の概要(単位:百万円)」の当期の「売上高」欄と合致します。

【子会社の状況】

子会社の状況を記載する部分は、別表十七(四)「国外関連者に関する明細書」と内容が被りますのでこちらも目新しい項目ではありません。別の書類と内容が重複している場合は記載の省略が認められていますが、記載の対象となる子会社は「出資割合等が50%超の子会社について」とあることからも移転価格関連の情報収集の一環と考えられます。

(平成30年度会社事業概況書の記載要領)

(1)直接、間接及び国内、国外を問わず出資割合等が50%超の子会社について記載してください。ただし、法人が別表十七(四)「国外関連者に関する明細書」を提出している場合には、当該明細書に記載のある子会社については、省略しても構いません。
(2)当該「子会社の状況」の項目を含む既存の資料がある場合には、当該「子会社の状況」に代えて提出しても構いません。その場合、出資割合等が50%超でない子会社が含まれていても構いません。
(3)「資本金」欄は、当該子会社が内国子会社の場合には、百万円単位で記載し、外国子会社の場合には、当該 外国子会社の現地通貨略号と資本金額(千現地通貨単位)を記載してください。
(4)「事業種目」欄は、当該子会社が現実に営んでいる業種について簡記してください。
(5)「出資割合等」の「間接」欄は、掛け算方式で算出した割合を記載してください。
(6)「子会社との当期の取引額(百万円)」欄は、掲記の各項目について、子会社との当期の取引金額を記載し てください。

【子会社の状況:補足⑦】

「子会社の状況」の記入欄の中には、電子商取引の状況を記載する欄があります。ここで、電子決済を通じた売上や仕入れ、経費支払いがある場合には、指定された番号を記載することになっています。

また、ネット販売取扱商品に関しても、製品区分と具体的な商品名を記載することが求められています。

【海外取引等の概要】

当該記載個所は平成29年度までの簡潔でサラリとしたスタイルから大幅な変更となり、平成30年度は記載する内容もかなり具体的なレベルの情報が求められています。「外国子会社数等」には「出資割合等が100%の外国子会社の総数」・「海外工事現場を保有している事業所数」・「特定外国子会社数」の記載が求められており、移転価格のみならずタックスヘイブン税制やPE課税まで意識した情報収集であることが伺えます。移転価格調査の観点では、別表十七(四)「国外関連者に関する明細書」では把握が難しかったグループ全体の国外関連取引状況が丸裸になるので、調査官としては調査対象取引の絞り込みやその重要性について把握しやすくなります。

(平成30年度会社事業概況書の記載要領)

(1) 外国子会社数等
イ 「外国子会社のうち100%子会社数」欄は、外国子会社のうち出資割合等が100%の外国子会社の総数を記載してください。
ロ 「特定外国子会社数」欄は、租税特別措置法第66条の6第1項に規定する特定外国子会社等に該当する 子会社の総数を記載してください。
ハ 「海外工事現場を保有している事業所数」欄は、海外に所在する支店等が海外工事現場を保有している場合に、その総数を記載してください。

(2) 貿易取引等
イ 「取引金額(億円)」欄は、当該会社事業概況書を添付する確定申告書等の事業年度期間に行った取引の総額をそれぞれの取引形態の欄に記載してください。
ロ 「主な取扱品目等」欄は、主要な取扱品目等を、2、3種類、例えば、「電子計算機、原油」のように 具体的に記載し、「海外工事」については具体的なプロジェクトの名称を記載してください。
ハ 「主な取引先、国名」欄は、取引金額の多いところから取引先2、3社とそれぞれの国名を記載してく ださい。
ニ 「取引形態」の「輸出」及び「輸入」欄は、直接貿易を行っているものについて記載し、商社等との間 で行う間接的な貿易については記載を要しません。

(3) 貿易外取引
なお、法人が別表十七(四)「国外関連者に関する明細書」を提出している場合には、当該明細書に記載のあ る取引については、省略しても構いません。また、所定の項目以外の取引がある場合には、「その他」欄に記載してください。

イ 「取引金額(百万円)」欄は、当該会社事業概況書を添付する確定申告書等の事業年度期間に行った取 引の総額をそれぞれの取引形態の欄に記載してください。
ロ 「主な取引先、国名」欄は、取引金額の多いところから取引先2、3社とそれぞれの国名を記載してく ださい。

(4) 「④ 外国為替取引」の「為替予約」欄は「個別予約対象通貨」欄及び「包括予約対象通貨」欄にそれぞれ 該当通貨を記載してください。

(5) 「⑤ オフバランス取引」欄は、取引がある場合には、その内容を記載してください。

【外国法人】

この欄については、平成30年度から新設された情報収集項目になると思われます。こちらも従来の書式には含まれないような詳細な情報が含まれることになりそうですが、外国法人に対する移転価格執行強化の流れにも繋がる可能性があります。

(平成30年度会社事業概況書の記載要領)

5 【外国法人】
(1) 外国法人である場合に記載してください。    「

(2) 「応答者」欄は、当該会社事業概況書(外国法人)を記載した者の氏名、部・課、役職名、所在地及び日本 から日中連絡の取れる電話番号を記載してください。

(3) 「責任者」欄は、国内において行う事業に係る税務内容に関して責任を有する者の氏名、部・課、役職名、 所在地及び電話番号を記載してください。

(4) 「① 本店の概要」の各欄は、次により記載してください。
イ  「所在地」欄は、外国法人の本店が所在する国名及び所在地を記載してください。
ロ  「資本金」欄は、外国法人の現地通貨略号と資本金額(千現地通貨単位)を記載してください。
ハ  「主要株主又は出資者」欄は、保有割合が多い株主又は出資者から順に記載してください。

(5) 「② 日本国内に所在する支店の概要」の各欄は、次により記載してください。
イ  「主な取引先」欄は、取引金額が多い取引先について記載してください。 ロ 「事業部の状況」欄の「責任部署の状況」欄は、支店の事業に責任を有する部署(例えば、事業部が業 務内容について事業報告を行う本店の特定の部署、地域統括会社の特定の部署、親会社の特定の部署な ど)を記載してください。 ハ  「主要役員の状況」欄は、就任期間の長い役員から順に記載してください。また、国外から支払われる 給与がある場合は「国外からの給与有無」欄の「□」にレ印を付してください。
ニ 「従業員数」欄は、支店に所属する役員を除く従業員数を記載してください。  なお、使用人兼務役員は従業員に含めてください。
ホ 「従業員のうち国外からの給与がある者の数」欄は、「従業員数」欄に記載した人数のうち、国外から 支払われる給与がある従業員数を記載してください。
へ 「本店からの配賦収益」欄は、当該会社事業概況書を添付する確定申告書等の事業年度において、本店 から配賦された収益がある場合、「有無」欄の「□」にレ印を付し、「配賦された金額」欄にその金額を 記載してください。
ト 「本店からの配賦費用」欄は、当該会社事業概況書を添付する確定申告書等の事業年度において、本店 から配賦された費用がある場合、「有無」欄の「□」にレ印を付し、「配賦された金額」欄にその金額を 記載してください。
チ  「財務諸表上の勘定科目」欄は、本店から配賦された金額が含まれている財務諸表上の主な勘定科目を 記載してください。
リ 「配賦計算方法」欄は、配賦の基礎となっている計算方法(例えば、本店と支店の従業員数で按分など)を簡記してください。

続きは、第3回以降の記事にて記載していきます。

(2024年11月7日 最終更新)
(2018年5月22日 新着記事)

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この記事を書いた人

株式会社iTPSは、移転価格対応に特化した専門サービスを提供する会社です。翻訳、文書作成、比較対象企業選定、コンサルティングまで、豊富な知識と経験で企業の課題を解決します。国際取引における安心と信頼を支えるパートナーとして、企業の成長を力強くサポートします。

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