【お知らせ】S&P Capital IQへのデータベース移行について

データベース移行に伴う弊社移転価格分析関連サービスの信頼性および品質の向上について
~Capital IQ導入による機能強化とベンチマーク分析の信頼性向上~

2025年1月より、弊社が使用する比較対象企業データベースが従来のRefinitiv(旧トムソン・ロイター社 Onesource)からStandard & Poor’s(以下、「S&P」)が提供する Capital IQへと移行されました。

この移行は単なる企業データベースプロバイダ変更にとどまらず、移転価格分析の根幹を支えるデータベースの機能・網羅性・正確性の飛躍的な向上を実現し、今後のベンチマーク分析の信頼性や実務対応力を大きく強化するものとなります。

本記事では、Capital IQの導入によって可能となった主な機能強化ポイントと、それが実際の弊社における移転価格サービスにどのような価値や影響をもたらすのかについて詳細を解説いたします。

1. 企業データのカバレッジ(収録企業総数)が飛躍的に拡大

S&P Capital IQは、グローバルで1,400万社以上の企業情報を保有しており、その中には上場企業・非上場企業を問わず、主要国から新興国まで幅広い地域の企業が含まれています。

従来のRefinitivではおよそ10万社の上場企業データを中心に構成されていましたが、Capital IQでは非上場企業のカバレッジ(収録企業総数)が大幅に拡充されていることが最大の特徴です。これにより、これまで比較可能な企業を見つけづらかったニッチな産業や新興市場における企業サーチ能力及びベンチマーク分析の精度が格段に向上することとなります。

なお、上場企業については、現状、移転価格税制対応(ベンチマーク分析)に必要とされるアクティブな上場企業の数は、2025年2月時点では世界全体で47,810社[1]と言われており、従来のRefinitivにも既にそのほとんどが収録されていましたので、今回のCapital IQへの以降に伴う企業データのカバレッジに実質的な変更はありません。したがって、Refinitivからアクセス可能だった企業データには、引き続きCapital IQでもアクセスすることが基本的に可能となっています。

2. 財務情報の粒度及び更新頻度が大幅に向上

Capital IQのもう一つの大きな特長は、詳細かつタイムリーな財務データの提供です。企業の売上高、営業利益、資産、負債、キャッシュフローといった基本的な財務情報に加え、EBITDA、ROA、ROE、NOPATなどの経営指標も標準で取得可能です。

また、更新頻度が大幅に引き上げられており、Refinitivでは年4回の更新でしたが、今後Capital IQでは毎月(年12回)の更新体制へ移行される予定です。これにより、移転価格実務で、最新年度の企業データの更新のタイミングを待つためにベンチマーク分析の開始時期を数か月~半年延期するといった面倒から解放される場面が多くなることが予想されます。

3. 検索機能・スクリーニングの柔軟性が向上

Capital IQの導入によって企業検索・スクリーニングの機能も飛躍的に向上しています。従来の「上場/非上場」「国別」「業種別」といった基本的なフィルターに加え、新たな検索軸(例「企業の設立様態」及び「企業の運営状況」等)が導入されています。これにより、より実態に合った比較対象企業群の検索・データ構築が可能になりました。

4. 国際的なコンプライアンス対応力の強化

Capital IQは、S&P社が提供するグローバルスタンダードのデータベースとして、国際的な会計事務所や各国税務当局からの高い信頼性を獲得している点も大きな特長です。移転価格に関するドキュメンテーションでは、OECDガイドラインや各国の移転価格税制との整合性が求められます。Capital IQはそのデータ精度・正確性・出典管理の面で十分な水準を持つものと評価されています。

5. 既存ベンチマークとの互換性も確保

Capital IQへの移行後も、過去にRefinitiv等を利用して構築した過去の分析結果は引き続き保存され、将来の更新時においても必要に応じて閲覧・利用可能です。過去の検索条件やスクリーニング項目は、Capital IQにおいてもそのまま再利用して適用すること可能であり、過去のベンチマーク分析との整合性の確保やスクリーニング条件の更新等のリクエストにも容易に対応することができます。また、ベンチマーク分析レポートの再作成(及び、税務当局への再提出)も迅速かつ効率的に行うことが可能です。

6. 今後の機能拡張とサポート体制も充実

Capital IQの導入は単なるデータベース変更ではなく、今後のさらなる機能強化の布石でもあります。S&Pとの連携により今後もカバレッジ拡充が計画されており、サポート体制も強化されています。

結語:移転価格分析の「信頼性」を次の高みに

Capital IQへの移行は、移転価格分析の「質」そのものを更に向上させるためのテクニカルなイノベーションと位置付けられます。今後、移転価格文書化のみならず、税務調査、APA、MAPといった高度な国際税務対応の場面においても、この強化されたデータインフラは極めて強力なサポーターとなります。

移転価格実務上の重要な要素となるキーワードは、最終的に「データの信頼性」に基づく「経済的合理性の説明」と「ロジカルな説得力」と言われます。Capital IQへの移行は、まさにそれらの実現を最前線でサポートするための第一歩となることでしょう。

(2025年2月28日最終更新)


[1] 参考情報:https://www.visualcapitalist.com/124-trillion-global-stock-market-by-region/

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この記事を書いた人

株式会社iTPSは、移転価格対応に特化した専門サービスを提供する会社です。翻訳、文書作成、比較対象企業選定、コンサルティングまで、豊富な知識と経験で企業の課題を解決します。国際取引における安心と信頼を支えるパートナーとして、企業の成長を力強くサポートします。

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