【お知らせ】データベース機能強化のお知らせ

Capital IQデータベース:2025年 3rdアップデートによる機能強化について

S&P社が提供する企業情報データベース「Capital IQ Fundamentals Public and Private」は、移転価格分析をはじめとした多様な企業分析に活用される世界有数の企業財務情報プラットフォームです。この度、同データベースは2025年に入り第3回目となるアップデートを実施し、さらに精緻な分析が可能となるデータ強化が図られました。本記事では、今回のアップデートの主な内容と、今後予定されている機能拡張についてご紹介します。

目次

ROA分析指標と平均運転資産の最新化

今回のアップデートでは、「Avg Operating Assets(平均運転資産)」ならびにそれを活用した利益指標である「Return on Operating Assets(ROA)」に関するデータが最新化されました。ROAは移転価格分析において利益水準指標(PLI)として多用される指標の一つであり、比較対象企業の財務実態を評価する上で極めて重要な要素となります。最新の財務データに基づいてROAを分析できることで、より正確で説得力のあるベンチマーク分析が実現されます。

国別企業収録件数の拡大

今回の更新により、複数の主要国での企業収録数が大幅に増加しました。具体的には以下の通りです:

・オーストラリア:新たに20,000社を追加 
・イギリス:3,000社を追加 
・オランダおよびドイツ:それぞれ1,000社を追加 

この拡充により、これまで以上に多様な企業群から比較対象を選定できるようになり、地域別分析やグローバル比較の精度向上に大きく貢献します。特にオーストラリアでの増加は顕著であり、アジア太平洋地域における分析力を一段と高める要因となります。

今後の機能拡張予定

さらに、S&P社と連携し、今後以下のような新機能・データ項目の追加が予定されています:

(1)企業登録番号(Company Registry Number/ID)の搭載 
国ごとに企業を一意に識別するための登録番号や法人番号の搭載が予定されており、企業識別の信頼性が一層高まります。特に多国籍企業や同一グループ企業を識別する場面で有用となる見込みです。

(2)所有者タイプに基づく拡張フィルタ 
現在も所有構造に基づくスクリーニングは一部可能ですが、今後は「法人オーナー」や「個人オーナー」といった属性を明示的に含む・除外する条件を設定できるようになる予定です。これにより、より高度なスクリーニングが可能となり、分析の自由度が大きく向上します。

実務への影響と展望

これらのアップデートおよび今後の強化予定は、移転価格文書化を含む国際税務対応におけるベンチマーク分析の信頼性を支えるものです。企業財務データの精緻化・網羅性の向上により、分析の透明性と説得力が高まることで、税務当局との交渉や説明責任を果たす際の大きな助けとなります。

また、収録企業数の拡大により、過去には十分な比較対象が見つけられなかった業種・地域においても、妥当なサンプルの構築が期待できます。これにより、定量分析の幅が広がり、移転価格ポリシーの策定や文書作成における実務の効率化にもつながります。

今後も継続的なアップデートが予定されており、Capital IQはさらに実務現場に即したツールとして進化を遂げていくことが期待されます。当社では、最新のデータベース情報に基づいたベンチマーク分析サービスを引き続き提供してまいります。

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この記事を書いた人

株式会社iTPSは、移転価格対応に特化した専門サービスを提供する会社です。翻訳、文書作成、比較対象企業選定、コンサルティングまで、豊富な知識と経験で企業の課題を解決します。国際取引における安心と信頼を支えるパートナーとして、企業の成長を力強くサポートします。

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