OECD移転価格ガイドラインには何が書かれているのか?(第6回)

2017年7月10日に改訂版が公表されたOECD移転価格ガイドラインは、移転価格税制に携わる者としてはバイブル的な存在ですが、その内容の難解さとボリューム感が半端ないため、専門家やアドバイザーでも何が書かれているかざっくりとしか知らない方も多いのではないかと思います。

一方、全体をカバーして日本語訳および解説している書籍やWeb情報も投稿した時点では存在していないようですし、LFの作成時に参考になるかもしれませんので、自分のコンサルティング業務向けの個人ノートでもあるのですが、作業当サイトの記事として順次公開していきます。

注)当サイトの記事に含まれる訳文や解説は、私見に基づいており、作業効率や時間短縮の観点から機械翻訳エンジンを用いている箇所があります。あくまでも参考訳としての扱いですので、正確な訳語や解釈については、原典または原文をご確認ください。

2017 OECD Transfer Pricing Guideline へのリンク

では、第6回ということで第1章:独立企業間原則のD節1.2.1から続きを見ていくことにしましょう。

 


D.1.2.1. D.1.2.1. 商業・金融関連のリスク分析1

1.56

1.56 実際のリスクの引受けは、関連企業間の取引の価格その他の条件に影響を与えるため、各当事者が引き受けた重要なリスクが特定され、検討されない限り、機能分析は不完全である。通常、公開市場では、リスク増大の仮定は、期待リターンの増加によっても補償されるが、実際のリターンは、リスクが実際にどの程度実現されているかによって増加するかは決まる。したがって、危険のレベルと負担は、移転価格解析の転帰を決定する上で重要な経済的関連性のある特性である。

1.57

1.57 事業活動に伴うリスク企業は、利益を得る機会を求めるために商業活動を行っているが、その機会には、その機会を追求するために必要なリソースが予想を上回るか、期待リターンを生み出さないかという不確実性が伴う。リスクの特定は、機能及び資産の特定と手を携えており、関連企業間の商業上又は財務上の関係を特定し、取引又は取引を正確に描写するプロセスに不可欠である。

1.58

1.58 商業的機会に関連するリスクの引受けは、公開市場におけるその機会の利益の可能性に影響を及ぼし、協定の当事者間で引き受けられたリスクの配分は、当該取引から生じる利益又は損失が当該取引の価格付けを通じて独立企業原則に従って配分される方法に影響を与える。したがって、支配下の取引と非支配下の取引との間、及び支配下の取引と非支配下の取引との間の比較を行う際には、どのようなリスクが引き受けられたか、どのような機能が遂行され、これらのリスクの引受け又は影響に関係するか、及びどの当事者がこれらのリスクを引き受けているかを分析することが必要である。

1.59

1.59 本節では、移転価格解析に関連するリスクの性質と発生源に関する手引きを提供し、関連するリスクを特定しやすくする。加えて、このセクションでは、独立企業原則の下でのリスクの引受けに関するガイダンスを提供する。機能、資産及びリスクを網羅する機能分析の一部としてのリスクの分析に関する本セクションで提供される詳細なガイダンスは、リスクが機能又は資産よりも重要であることを示すものと解釈されるべきではない。特定の取引における機能、資産及びリスクの関連性は、詳細な機能分析を通じて決定される必要がある。リスクに関する拡大ガイダンスは、リスクによって提示される実際的な困難を反映している。取引のリスクは、機能や資産よりも特定するのが難しく、取引においてどの関連企業が特定のリスクを引き受けているかを判断するには、慎重な分析が必要である。

1.60

1.60 コントロールド・トランザクションのリスクを分析するためのセクションの残りの部分で述べたプロセスのステップは、そのリスクに関する実際のトランザクションを正確に描写するために、以下のように要約することができる。

経済的に重大なリスクを特定する(セクションD.1.2.1.1参照)。

取引条件(セクションD.1.2.1.2参照)に基づき、関連企業によって、どの程度具体的な経済的に重大なリスクが契約上引き受けられているかを決定する。

機能分析を通じて、取引の当事者である関連企業が、特定の経済的に重大なリスクの引受け及び管理に関して、特にどの企業又は企業がコントロール機能及びリスク軽減機能を遂行しているか、どの企業又は企業がリスク結果の上方又は下方への影響に直面しているか、どの企業又は企業がリスクを引き受ける財務的容量を有するかを決定する(セクションD.1.2.1.3参照)。

ステップ2~3では、統括取引におけるリスクの引受けと管理に関する情報を特定する。次のステップは、情報を解釈し、リスクの契約上の仮定が、(i)関連企業がセクションD.1.1の原則に基づく契約条件に従うかどうか、(ii)(i)に基づいて分析されるリスクを引き受けた当事者が、リスクを管理し、リスクを引き受ける財務的容量を有するかどうか(セクションD.1.2.1.4を参照)を分析することにより、関連企業の行為及びその他の事案の事実と整合的であるかどうかを決定することである。

ステップ1~4(i)の下でリスクを引き受けた当事者がリスクをコントロールしていない、またはリスクを引き受ける財務的能力がない場合、リスクの配分に関するガイダンスを適用する(セクションD.1.2.1.5を参照)。

実際の取引は、セクションD.1の指針に示されているように、取引の経済的に関連するすべての特性の証拠を考慮して正確に描出され、その後、リスク仮定の財務的及びその他の結果、適切に配分されたもの、及び適切に補償されたリスク管理機能(セクションD.1.2.1.6を参照)を考慮して価格付けされるべきである。

1.61

1.61 このセクションでは、初期の説明と定義を必要とする用語について言及する。「リスク管理」という用語は、商業活動に関連するリスクを評価し、それに対応する機能を指すために使用される。リスク管理は、以下の3つのエレメントから構成される。(i) 危険負担機会をとる、解雇する、または拒否する意思決定を行う能力、および当該意思決定機能の実際のパフォーマンス、(ii)機会に関連するリスクの有無および対応方法に関する意思決定を行う能力、ならびに当該意思決定機能の実際のパフォーマンス、(iii)リスクを軽減する能力、すなわち、リスクの転帰に影響を及ぼす措置をとる能力、ならびに当該リスク軽減の実際のパフォーマンス。

1.62

1.62 リスク管理機能の中には、商業的機会の創出と追求に際して機能を遂行し、資産を使用する当事者のみが行うものもあれば、別の当事者が行うものもある。リスク管理は、利益を最適化する活動のパフォーマンスとは異なり、別個の報酬を要求する別個の機能を必ずしも包含するものと考えるべきではない。例えば、開発活動を通じた無形資産の開発は、可能な限り高い基準でかつ期限どおりに仕様書に従って開発を行うことに関連するリスクを軽減することを含み、特定のリスクは、開発機能自体の遂行を通じて軽減されるかもしれない。例えば、関連企業間の契約上の取決めが、本セクションの要件に基づき尊重される研究開発の契約上の取決めである場合、開発活動を通じて遂行されるリスク軽減機能の報酬は、独立企業原則に基づくサービス支払額に組み込まれることになる。無形資産のリスク自体も、そのようなリスクに関連する残余利益も、サービス提供者に配分されない。1.83項の例1も参照のこと。

1.63

1.63 リスク管理は、リスクの引受けと同じではない。リスクの引受けとは、リスクが顕在化した場合に、リスクを引受けた当事者が財務及びその他の影響も負担することになるという結果で、リスクの上方及び下方への結果を引き受けることを意味する。リスク管理機能の一部を遂行する当事者は、その管理活動の主題であるリスクを引き受けることはできないが、リスク引受当事者の指示の下で、リスク軽減機能を遂行するために雇用されることがある。例えば、製品リコールリスクの日常的な軽減は、リスクを引き受けた当事者の仕様に従って、特定の製造工程の品質管理の監視を行う当事者に委託することができる。

1.64

1.64 リスクを引き受ける財務能力とは、リスクを引き受けたり、リスクをレイオフしたり、リスク軽減機能の費用を負担したり、リスクが実現した場合にリスクの影響を負担したりするための資金へのアクセスと定義される。リスクを引き受けた当事者による資金調達へのアクセスは、利用可能な資産と、リスクが実現した場合に生じると予想されるコストをカバーするために、必要に応じて追加的な流動性にアクセスするために現実的に利用可能なオプションを考慮に入れている。この評価は、リスクを引き受けた当事者が、本条の原則の下で正確に描かれているように、関連企業と同じ状況において関連なし当事者として活動していることに基づいて行われるべきである。例えば、所得を生み出す資産における権利の利用は、その当事者の資金調達の可能性を開拓する可能性がある。リスクを負う当事者が、リスクに関する資金需要を満たすためにグループ内資金を受け取る場合、資金を提供した当事者は、財務上のリスクを負う可能性があるが、単に資金の提供の結果として、追加的な資金調達の必要を生じさせる特定のリスクを負うものではない。リスクを引き受ける財務能力が不足している場合、リスクの配分はステップ5でさらに検討する必要がある。

1.65

1.65 リスクのコントロールは、第1.61項に定義されたリスク管理の最初の2つのエレメントに関係する。すなわち、(i)リスクを伴う機会をとる、解雇する、または拒否する決定を下す能力と、その意思決定機能の実際のパフォーマンス、および(ii)機会に関連するリスクの有無および対応方法に関する決定を下す能力と、その意思決定機能の実際のパフォーマンスである。リスクをコントロールするためには、(iii)で述べたように、当事者が日々の軽減を実施する必要はない。第二項1.63の例が示すように、このような日々の緩和は外部委託されるかもしれない。しかしながら、これらの日常的な緩和活動が外部委託される場合、リスクの管理には、外部委託された活動の目的を決定し、リスク軽減機能のプロバイダーを雇用し、目的が適切に満たされているかどうかを評価し、必要に応じて、そのような評価および意思決定の実行とともに、当該プロバイダーとの契約を適合または終了することを決定する能力を必要とする。この統制の定義に従って、当事者は、リスクに対する統制を行使するために、上述の能力と機能の両方のパフォーマンスを要求する。

1.66

1.66 特定のリスクに関する意思決定機能を遂行する能力及び当該意思決定機能の実際の遂行には、当該意思決定の予見されるダウンサイド及びアップサイドのリスク結果並びに当該企業の事業に対する影響を評価するために必要な情報の関連する分析に基づくリスクの理解が含まれる。意思決定者は、決定が行われている特定のリスクの分野における能力と経験を有し、意思決定がビジネスに与える影響についての理解を有するべきである。また、彼らは、この情報を自ら収集するか、意思決定プロセスを支援するために関連情報を特定し入手する権限を行使することにより、関連情報へのアクセスを有するべきである。その際、情報収集・分析の目的を決定し、情報収集・分析を行う当事者を雇い、適切な情報収集・分析が適切に行われているか否かを評価し、必要に応じて、当該評価や意思決定の実施とともに、当該提供者との契約の変更・解除を決定する能力が求められる。例えば、他の場所で行われた決定を正式に承認するために組織された会合、取締役会の議事録、および決定に関連する文書の署名という形での意思決定の転帰単なる形式化も、リスクに関連する政策環境の設定(1.76項を参照)も、リスクに対するコントロールを実証するのに十分な意思決定機能の行使としては認められない。

1.67

1.67 リスク管理への言及は、必ずしもリスクそのものが影響を受け得ること、または不確実性が無効化され得ることを意味すると解釈されるべきではない。リスクの中には、影響を受けることのできないものもあり、その活動を行うすべての企業に影響を及ぼす商業活動の一般的条件である。例えば、一般的な経済状況や商品価格のサイクルに関連するリスクは、影響する多国籍企業グループの範囲を超えることが多い。代わりに、リスクの管理は、リスクを引き受け、投資のタイミング、開発プログラムの性質、マーケティング戦略の設計、または生産レベルの設定などを通じてリスクに対処するかどうか、どのように対応するかを決定する能力と当局として理解されるべきである。

1.68

1.68 リスク緩和とは、リスクの転帰に影響を及ぼすと予想される措置をいう。そのような措置には、不確実性を減少させる措置、又はリスクのダウンサイド・インパクトが生じた場合の影響を減少させる措置を含むことができる。コントロールは、リスクを評価する際に、ビジネスの中核となる事業活動の基本となるリスクを含むいくつかのリスクに関連する不確実性が、評価された後に、機会を創出し、最大化するために講じられ、直面すべきであると企業が判断する可能性があるため、リスク緩和措置を採用することを要求するものと解釈されるべきではない。

1.69

1.69 制御の概念は、以下の実施例によって説明することができる。A当社は、専業メーカーであるB当社を指名し、製品の製造を代行する。契約上の取決めは、B当社が製造サービスを行うことを約束するが、製品仕様及び設計はA当社が提供していること、及びA当社が製品納入数量及びタイミングを含む生産スケジュールを決定していることを示している。契約関係は、A当社が在庫リスク及び製品回収リスクを負うことを意味する。A当社は、生産工程の定期的な品質管理を行うため、C当社を雇用している。A当社は、品質管理監査の目的及びC当社に代わって収集すべき情報を特定する。C当社は、A当社に直接報告しているが、経済的な特性の分析によれば、A当社は、リスクを引き受けるか否か、どのようにリスクに対処するかについて、多くの関連する意思決定を行う能力と権限を行使することにより、製品回収及び在庫リスクを管理している。また、A当社は、リスク軽減機能に関する評価及び決定を行い、実際にこれらの機能を遂行する能力を有する。これには、外部委託活動の目的の決定、特定の製造業者及び品質確認を行う当事者を雇用する決定、目標が適切に満たされているかどうかの評価、及び必要に応じて、契約の変更又は終了の決定が含まれる。

1.70

1.70 投資家がファンド・マネジャーを雇い、その口座にファンドを投資すると仮定する。2投資家とファンド・マネージャーとの契約次第では、投資家は、投資価値の損失リスクは投資家が負担するが、投資家のリスク選好を反映した方法で、日々、投資家に代わってポートフォリオ投資を行う権限を与えられる。このような例では、投資家は4つの関連した意思決定を通じて、リスクをコントロールしている。ポートフォリオに含まれる異なる投資に付随するリスクの優先度とその分散化に関する決定、そのファンドマネージャーを雇う(あるいは契約を終了する)決定、ファンドマネージャーに与えられる当局の範囲と後者に割り当てる目的の決定、そしてこのファンドマネージャーに運用を依頼する投資額の決定。さらに、ファンド・マネージャーは、ファンド・マネージャーの活動の成果を評価したいと考えるので、通常は定期的に投資家に報告することが求められる。このような場合、ファンド・マネージャーは自らの観点(例えば、信頼性を守るため)からサービスを提供し、事業リスクを管理している。ファンドマネージャーのオペレーショナルリスク(顧客を失う可能性を含む)は、顧客の投資リスクとは異なる。このことは、ファンドマネージャーが行うようなリスク軽減活動を遂行する権限を他者に与える投資家が、必ずしも投資リスクの管理を日々の意思決定者に委譲するとは限らないことを示している。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

株式会社iTPSは、移転価格対応に特化した専門サービスを提供する会社です。翻訳、文書作成、比較対象企業選定、コンサルティングまで、豊富な知識と経験で企業の課題を解決します。国際取引における安心と信頼を支えるパートナーとして、企業の成長を力強くサポートします。

目次